1.序言
株式会社ポケモン社が中国の6つの会社に対し著作権侵害、不正競争行為があったとして中国深圳市中級裁判所に提訴したことが中国の中南紅文化集団株式有限会社の2022年9月1日の重大訴訟事項に関する公告(以下「公告」という)により知られています。現在はまだ係争中であるため、判決は出ていませんが、公告により知られている争点について紹介いたします。以下は公告の内容の抜粋及び整理です。
2.当事者
原告:株式会社ポケモン(株式会社宝可梦(宝可夢)、「宝可梦」は日本の発音に似ている発音です。)
被告1:広州麦馳ネットワークテクノロジー有限会社
(广州麦驰网络科技有限公司)
被告2:深セン市阿斯卡徳テクノロジー有限会社
(深圳市阿斯卡德信息技术有限公司)
被告3:深セン市値尚互動テクノロジー有限会社
(深圳市值尚互动科技有限公司)
被告4:中南紅文化集団株式有限会社
(中南红文化集团股份有限公司)
被告5:深セン市中順和盈テクノロジー有限会社
(深圳市中顺和盈科技有限公司)
被告6:霍爾果斯方馳ネットワークテクノロジー有限会社
(霍尔果斯方驰网络科技有限公司)
公告によると、被告2は被告3の完全子会社です。曾て被告3は被告4の完全子会社であり、ゲームの発行及び運営の業務を行っていました。しかし、2019年末に被告4が所有している被告3の100%の株式すべてが公売され、現在被告3の株主は平安信託有限会社であり、2019年11月29日に商業登記を完了したので、現在被告4と被告2及び被告3の間には何らかの株式に関する関連は存在していません。
3.基本情報(以下公告の翻訳)
原告株式会社ポケモン社は一連の電子ゲーム「ポケモン」の権利人です。原告はアップルAppStore、HUAWEI App Gallery、テンセントの応用宝、360モバイルアシスタント、小米(xiaomi)ゲームセンター、vivo APPストア、OPPO ColorOS、Meizu APPストア、PPアシスタント等の主流のスマホのアプリストアにて同一名称である「ポケット妖怪復刻(ポケットの旅)」というゲームを発見しました。原告は被告のゲーム中には原告のゲームの著作権を侵害する内容が大量に存在していると主張しています。
被告1は訴訟に係るゲームの画面、およびISBN番号の情報に表示されている著作権者です。被告2、被告3、被告4,被告5、被告6は被告1とともに訴訟に係るゲームに対し共同運営をしています。原告は訴訟に係るゲームについて2015年に運営開始した時点から6人の被告は原告或いはその他の権利人の許可を得ず、ゲームの開発、発行、運営、広告をする行為は原告の著作権を侵害する行為であり、不正競争行為であると主張しています。原告は被告の侵害行為に対し、懲罰的損害賠償を適用すべきであると主張し、自身の合法的利益を守るために、広東省深セン市中級裁判所に提訴しました。
4.訴訟請求(以下公告の翻訳)
- 被告らは原告作品の複製権、改編権(翻案権)、発行権(頒布権)、情報ネットワーク伝達権(公衆送信権、公の伝達権)を侵害する行為を停止、すなわち、運営、頒布、提供、宣伝行為を停止せよ。
- 被告らは原告の合法的権益を損害する不正競争行為を停止せよ。
- 被告らは新浪網、捜狐網、テンセント網、網易網、アップルAppstore、テンセントの応用宝、HUAWEI App Gallery、360モバイルアシスタント、OPPO ColorOS、Meizu APPストア、PPアシスタント等のクラウド型プラットフォーム及び自社の公式サイト、ソーシャルメディア等のサイトおよびプラットフォームの目立つ位置で原告に謝罪し、影響を排除せよ。
- 被告らは原告に対し、著作権侵害及び不正競争権利侵害行為による経済損失の5億元人民元を支払え。
- 被告らは原告が調査や証拠捜し、及び本案の提訴のために支払った合理的費用である117,500元について連帯責任を持って支払え。
- 被告らは本件訴訟に係るすべての訴訟費用、保全費用を支払え。
5.おわりに
以上は今回の株式会社ポケモン社が中国の6つの会社に向けて著作権侵害及び不正競争行為に対して提訴した事案です。現在は係争中であるため、結果については判決が出る次第に掲載することにします。
原文:https://pdf.dfcfw.com/pdf/H2_AN202208311577889898_1.pdf?1661960557000.pdf 2023年3月2日アクセス
(日本アイアール株式会社 F・K)